猪熊弦一郎について


対話彫刻 撮影:大峯達麻





猪熊コレクション 撮影:大峯達麻
画像全て:©公益財団法人ミモカ美術振興財団

対話彫刻 撮影:大峯達麿
対話彫刻とコレクション
猪熊は絵画のなかだけで美を追求するのではなく、身の回りも美しく整えて毎日の生活を楽しんでいました。このことを伝えるものとして、手づくりした小さな彫刻「対話彫刻」と画家の眼が選んで集めた小さな物の「コレクション」があります。当館では、あらゆるものに美を見出す猪熊の精神、またその猪熊の眼を身近に感じられるものとして、これらも時々入れ替えながらご紹介しています。
毎日100本も煙草を吸うヘビースモーカーだった猪熊は1960年ごろ禁煙しましたが、どうしても手が寂しがり、つい手近にあるチョコレートの包み紙などを煙草のように細長く巻いていました。それらはやがて針金で巻かれて昆虫のようなものになります。それをテーブルの上にたくさん集めて置いていると、まるで互いに対話をしているようで楽しそうに見えたことから対話彫刻と名づけました。
また、高価なアンティークから金銭的には価値のない道端で拾ったつぶれた空き缶まで、どこか心をゆさぶられたものを集めて自宅に飾っていました。そのコレクションは、用途、素材、時代などにとらわれず、まさに猪熊がそこに美を見出して集めたものです。猪熊は、これらを実際に作品に描くことはまれでしたが、大切にしまいこんでしまうのではなく、目に触れるところに置いて日々を彩っていました。